抗HER2ヒト化モノクローナル抗体抗悪性腫瘍剤であるハーセプチン(トラスツズマブ製剤)の添付文書を題材に英訳トレーニングをしています。
HER2とは、Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)という、細胞の増殖に関わるタンパク質のひとつです。
乳がんや胃がんの患者ではHER2タンパク質を作り出す遺伝子が増えていることがあります。
モノクローナル抗体とは、1種類のB細胞が作る抗体のコピー=クローンのこと。
マウスにがん細胞の抗原を注射して抗体を作らせ、人工的に増やします。
ヒト化抗体とは、マウスで作成した抗体の抗原結合部位をヒト由来の抗体分子に移植して作られた抗体です。
ヒト化抗体はマウス由来部分を最小限にして作られているため、人体にとってはヒト免疫グロブリン(抗体の機能を持つタンパク質)として認識されます。
ハーセプチンはがん細胞の表面に発現したHER2に結合して、がん細胞の増殖を抑制します。
今回取り組んだのは、添付文書の薬物動態のパート。
以下の記述がありました。
トラスツズマブの血清中からの消失は緩やかで、被験者毎に1-コンパートメントモデルを当てはめて算出した半減期は投与量の増加とともに延長し、投与量1mg/kg注1)では2.4日、8mg/kgでは5.5日であった。
ハーセプチン添付文書
コンパートメントモデルって何だろう?
コンパートメントモデルとは体を、薬物を処理する血液の箱(コンパートメント)とみなし、その箱における薬物の出入り(血中濃度)を経時的に見ていく手法のようです。
1-コンパートメントモデルとは血液の箱を1つ(体循環)とする最も単純なコンパートメントモデル。
トラスツズマブは点滴静注投与されるので、直接体循環に入ることから「1-コンパートメントモデルを当てはめて算出した」という記述になるのかな。
2-コンパートメントモデルには体循環のほかに薬物が分布する組織という別のコンパートメントが設定されます。
コンパートメントと薬物の出入りの関係はイメージできましたが、半減期との関連が理解できていません。。
薬物動態の参考図書を注文したので、そこでヒントが得られたらと期待しています。
【参考】
- 中外製薬ウェブサイト
- ハーセプチン添付文書
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