昇華型熱転写方式とは

化学

昇華とは、固体から液体を介さずに直接気体に状態が変化する現象のこと。

この現象を利用した特許を検索してみたところ、昇華型プリンターや印刷に使う用紙などが多くヒットしました。 その中で比較的読みやすそうな昇華性熱転写受像シート(特開2020-90017)を読んでみました。

なぜ昇華が起こるのか?

いくつかの原子が結合すると分子ができます。分子と分子の間には引力が働き、分子同士を結びつけています。

これを分子間力といいます。

分子間力にはファンデルワールス力や水素結合などがあります。

例えばドライアイスは二酸化炭素がファンデルワールス力で結びついた物質です。

ファンデルワールス力は、分子の中で瞬間的に電荷の偏りが生じることで生まれる引力であり、結合力としてはとても弱いのです。

そのため、少し温度が上昇しただけで分子の熱運動エネルギーが分子間力より大きくなって、分子同士の結合が切れてしまいます。

一方、水素結合はプラスの電荷をもつ分子とマイナスの電荷をもつ分子が引き合っているため、結合力はファンデルワールス力の100倍です。

染料の昇華

さて、昇華型熱転写方式とは、インクに高熱を加えることで昇華(気化)させ、気化した染料を紙に定着させる印刷方法のことです。

染料に加える熱、つまりサーマルヘッドの温度を変えることによって高度な濃淡の調整ができます。

印刷には専用のインクと用紙が必要です。

また、紙だけでなく布地への印刷も可能で、特にポリエステル素材は発色が良く鮮明に印刷することができるそうです。

ノベルティのTシャツやのぼりなどにもこの技術が使われているのですね。

昇華性熱転写受像シート

今回読んだ特許は、昇華性熱転写受像シートに関するものです。

【課題】プリンター初期動作中の熱転写シートの染料層と熱転写受像シートとの間の摩擦帯電に起因するJAMの発生を抑制し、高濃度の印画ができる昇華性熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】支持体の一方の側に少なくとも受像層を備え、支持体の他方の側に少なくとも背面層を備えてなる昇華性熱転写受像シートであって、前記受像層は樹脂分として少なくとも塩化ビニルを第一成分とするビニル系共重合体エマルションを主成分として含み、且つ、前記受像層の表面炭素(C)に対する表面塩素(Cl)の原子比率(Cl/C)が15%以上25%以下である昇華性熱転写受像シート。

特開2020-90017

受像層に昇華性の染料を定着させるのですが、この層の材料は塩化ビニルを第一成分とする塩化ビニル系共重合体が望ましいとのこと。

塩素(Cl)は電気陰性度が高く、昇華性染料が染着しやすいからだそうです。 電子が欲しいClと気化した染料が関係しているということでしょうか。

EKwordsで抽出した頻出用語を調べてひとまず終了します。

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