特許明細書を読む:改善された透析液再生のための吸着剤カートリッジの構成(P2014-204958A)

明細書

酸と塩基、そしてアレニウスの定義、ブレンステッド・ローリーの定義、ルイスの定義をキーワードに特許明細書を検索して読んでみました。

透析については過去に血液透析用のバスキュラーアクセス、血液透析中に血液が固まらないようにする抗凝固薬、拡散と限外濾過、浸透圧差を利用した腹膜透析の水分除去などについて学んでいます。

透析器(ダイアライザ)のしくみはざっくりと理解していましたが、膜の向こう側にある透析液についてはすっかりお留守になっていました。

今回の明細書を読んで、ダイアライザの中を流れる透析液がどのように処理されるのかを学ぶことができました。

透析について

まずは透析についておさらいしたいと思います。

人工透析は、腎臓の働きが悪くなって体の中の老廃物を外に出すことができなくなってしまった場合に、腎臓の代わりに機械を使って老廃物を取り除き、血液をきれいにする治療法です。

透析で行うことができるのは次の4点です。

  • 体の中にたまった老廃物を除去し、血液をきれいにする。
  • 体内の水分量が一定になるように、余分な水分を除去する。
  • 血液中の電解質濃度を調整する。
  • 酸性に傾いた血液を弱アルカリ性に戻す。

透析治療には大きく分けて血液透析と腹膜透析があります。

日本では透析患者さんの約8割が血液透析により治療を受けているそうです。

血液透析では、体外に血液を取り出して人工腎臓のフィルターであるダイアライザに通して老廃物や余分な水分を除去し、きれいになった血液を体内に戻します。

透析についてはこちらのサイトに簡潔にまとめられています。

発明が解決しようとする課題

この発明が解決しようとする課題は、血液透析や血液濾過における透析液再生の処理能力と効率を改善する吸着剤カートリッジの構成です。

血液透析で用いられる透析液再生システムには、使用済みの透析液から不純物、老廃物、電解質を取り除く再生物質が含まれています。

透析液の再生に必要な吸着剤は数キログラムにもなるそうです。

必要とされる吸着剤の量をできるだけ減らし、かつ再生モジュールの重量とコストを抑えるというニーズがあります。

課題を解決するための手段

透析液再生ユニットには再生物質を含有する再生モジュール(吸着剤カートリッジ)が2つあります。

使用済みの透析液(又は濾液)は下図の①から混合チャンバーに入り、②から出た後、1つ目のカートリッジで処理されます。

その後、透析液は③からもう一度混合チャンバーに入り、①から入ってくる未処理の液体と混合されます。ここで拡散が起こります。

つまり、②から流出する透析液と④から流出する透析液は成分濃度が等しくなります。

混合チャンバーを伴う二段階吸着剤カートリッジ

再生モジュールに使用される再生物質はウレアーゼ、アルミナ、リン酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、活性炭、又は他のイオン交換剤の少なくとも1つ。

ウレアーゼ:尿素をアンモニウムイオンと二酸化炭素に加水分解する酵素。

リン酸ジルコニウム:ナトリウムイオン及び水素イオンとの交換で大量のアンモニウムイオンを吸収することにより、カチオン交換剤として作用する。リン酸マグネシウムと置き換え可能。

含水酸化ジルコニウム:リン酸を酢酸と交換することによってアニオン交換剤として作用する。活性アルミナと置き換え可能。

活性炭:尿酸やクレアチニンなどの尿毒性毒素を含む広範囲の不純物を吸収する。

他のイオン交換剤:カチオン及びアニオンを取り除く(弱酸及び強酸のカチオン交換樹脂、弱塩基及び強塩基のアニオン交換樹脂、キレート交換樹脂等)。

ある実施例では、単一の吸着剤カートリッジに対して、二段階の吸着剤カートリッジシステムのほうが必要とされる含水酸化ジルコニウムの量が少ないとの結果が示されています。

まとめ

課題を解決するための手段が大変長いのですが、図と紐付けて読めば装置のどこの話をしているのかが分かってきます。

自分が興味をもっている分野であること、過去に透析関連の実ジョブを経験していることから、専門用語や化学の知識が必要な箇所を適宜調査すれば、比較的理解しやすい内容であったと思います。

途中の詳細な技術的説明は読み飛ばしている箇所も多くありますので、対訳を収集しながらまとめます。

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