交絡因子とは?結果に影響を与えるやっかいなもの。

翻訳の仕事

翻訳の原稿を読んでいて、“confounded”という単語をみるとドキリとします。

文字通り「混乱」してしまうときがあるので、文脈から何がconfounderなのかをしっかり確認する必要があります。

自分用の覚え書きを兼ねて交絡について説明してみたいと思います。

交絡とは?

英語でconfounderやconfounding factorなどと表される交絡因子。
どういうことかというと、

Aという要因があって、Bという結果が得られる。
このとき、A、Bとは別のCという事象があるとする。
このCがAとBの因果関係に影響を及ぼす場合、Cは「交絡因子」と呼ばれる。

図で表すとこのようなイメージです。

要因・結果・交絡因子の三角関係

AとCに関連性があることがポイントです。

コーヒーと喫煙の関係

交絡を説明するとき、コーヒーと喫煙の関係が例としてよく使われています。

例えば、コーヒーをたくさん飲む人は心筋梗塞の発生率が高いというデータが現れるとします。 しかし実際には、コーヒーを飲むことが心筋梗塞を発生させる要因となったのではなく、コーヒーを多く飲む人は喫煙者であることが多かったために、コーヒーと心筋梗塞に関係があるかのようにみえたのです。

このように、コーヒーと心筋梗塞に見かけ上の関連をもたらした喫煙を交絡因子といいます。

真犯人は喫煙だった!

交絡因子の条件

交絡因子は次の3つの条件を満たします。

  1. 結果に影響を与える
  2. 要因と関連がある
  3. 要因と結果の中間因子ではない

前述の例に当てはめると、喫煙は、

  1. 心筋梗塞に影響を与え、
  2. コーヒーを多飲する人の中には喫煙者が多く、
  3. コーヒーの飲用と心筋梗塞の中間因子ではない(コーヒーを多飲する人は全員が喫煙者というわけではない)、

となります。

薬剤と有害事象との因果関係

薬剤Aを投与後、有害事象Bが発現したとします。

薬剤Aと有害事象Bとの因果関係を判定するわけですが、このとき様々な交絡因子Cが有害事象Bに影響を与えている可能性があります。

交絡因子としては、薬剤Aの適応となった基礎疾患、合併症の存在、同様の有害事象の発現が知られている併用薬の投与など様々な要因があります。

薬剤と有害事象との因果関係を判断するには、交絡因子の影響を考慮しなければならない!

まとめ

“confounded”という単語が出てきたら、どのワードがこの三角関係に当てはまるかチェックしてみましょう。
要因・結果・交絡因子の関係をしっかり把握して、「混乱」を生じないように翻訳したいものです。

参考URL
日本疫学会 https://jeaweb.jp/glossary/glossary014.html

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